The Beatles の名曲 Ticket To Ride は、ビートルズファンでなくても一度は聴いたことがあると思います。
今ぱっとメロディが浮かばない人はとりあえずこちらをご覧ください。(音が出ます)
聴いたことありますよね?
じつはこの曲の歌詞には「あれ?なんか変…」とちょっと違和感を覚える箇所があるんです。しかもサビに!
She don’t careって何!?
私はもう20年以上この曲を聴いているというのに、つい最近気づきました。(;´Д`)遅っ…(´▽`)全然歌詞気にせず聴いてましたの♪
サビの部分にこのなんだか変な歌詞が出てきます。引用します。
She’s got a ticket to ride
She’s got a ticket to ride
She’s got a ticket to ride
But she don’t care
どうでしょう?何か違和感を覚えましたか?
She DON’T care って変ですよね!?
he や she などの三人称の後の動詞は三人称単数現在形のsを付けろとあれほど言ってるのにまだわかんないのか!基礎中の基礎だろう!!中一で習うことだぞ!そんなんじゃ志望校受かんねぇぞ!(>Д<)ひぃ~~すみません!!(´Д`;)え、何コント?
he や she の後ろにつく動詞は三単現のsを付けるというルールがありますよね。文法の話は嫌いだし、なんかよくわからんけどそんなルールがあります。そうなると、do ではなく does がつくはずです。She doesn’t care が正しいですよね。
なのに Ticket To Ride の歌詞は don’t が使われています。
なんで!?(´Д`)なんでですの!? 何か意図があってわざとこの歌詞にしたんでしょうけど、その意図がまったくわからない!
すんごい気になったのでネットで調べてみました。色々説は出てきましたが憶測で書かれているものも多く、ちょっとぼんやりしていてわかったようなわからないような…。
というわけでカリフォルニア出身の友達KateとEmmaに質問しました。
曲作りにはよくある話
Kate曰く、これは語呂合わせだそうです。メロディーラインにうまく乗せるためにわざと don’t を使っているのです。これを doesn’t にしてしまうとなんとも野暮ったく間の抜けた曲調になります。
これは英語の歌詞にしばしば見られることだそうです。don’t に限らずたくさんのアーティストが曲に乗せるために文法的に正しくないフレーズを使っているようですよ。
なるほど。納得!
実は正しい文法だった!
なんと。正しくないと思っていた文法が実は正しかったんです!
うそん!?絶対これ間違ってるでしょーよ!?( ゚Д゚)何言うてますの!? She が do だよ!?テストだったら絶対バツ付けられるよ!?
Emmaが教えてくれました。
これはアメリカ南部の人やアフリカ系アメリカ人が話す言葉で、文法的にはこれは正しいのだそうです。いわゆる方言です。方言と言われれば間違いではないですよね。
中にはこの言葉(She don’t ~)を「品のない、汚らしい、教養のない、ギャングや貧しい人達の言葉」と中傷する人もいます。でもこの言葉は多くの人にとっては超クールでイケてる言葉なのです。
ミュージシャンにとってもこの言葉はカジュアルでクール。なので好んで使う人も多いのです。
She don’t care は方言だったのですね。日本語でも方言は標準語では使わない文法や言葉もあるけど正しい日本語です。そしてその方言を「汚い言葉」と言う人もいれば(失礼な話ですが)「かっこいい!カワイイ!」と気に入って、その土地の人じゃなくても使う人もいますよね。方言は若者にとってイケてる言葉にもなるのです(*^^*)なまらクールっしょ!
日本の曲にも良い例がありますよ!やしきたかじんの「やっぱ好きやねん」という曲に当てはめてみましょう!
これを日本語を勉強中の外国人が聴いたらこう思うはずです。
やっぱって何!?「やっぱり」じゃないの?
好きやねんって何?おかしくない?「好きです」が正しいよね!?
って。でもこれは大阪弁という方言で歌われているので、間違いではなく正しい日本語ですよね。「やっぱり」と歌うより「やっぱ」と歌うことでメロディにうまく乗りますね。「好きです」と歌うより「好っきゃねん」と歌った方がメロディに勢いがつきます。
ある人はこの言葉を「大阪弁なんて汚い、品のない言葉だ」と思うけど、多くの人は「これは大阪弁で歌うから味があるんだよ!色気があってカッコイイ!」と感動しますよね。
きっと She don’t care もこんな感覚なんだと思います。方言は標準語では表せない味があるのです。
ついでにイディオムも覚えよう!
当ブログでは、ややこしいイディオム(慣用句や熟語)を楽しく覚えられるように洋楽を使って紹介しています。Ticket To Ride にも面白いイディオムがあったのでついでに紹介します!
Driving me mad
このイディオムは drive me crazy と同じ「狂わせる」という意味です。drive は運転するという意味で覚えていると思いますが「操作する」がコアの意味です。誰かが私を狂うほどに操作しているわけです。
この drive me mad/crazy は色んな「狂わせる」という使い方があります。状況や前後の文脈から読み取るとわかりますが、「パニックにさせる」とか「怒らせる」とか「夢中(恋)にさせる」と言った意味で使われますよ。(´Д`)どれも激しい感情だわ…
この歌詞が使われている部分を引用します。
The girl that’s driving me mad
Is going away
「そのコが俺を狂わせるだけ狂わせておいて去ってくんだ」という歌詞なんですね。昔で言うところのゾッコンラブってやつですね!(´Д`)古いわ~(´▽`)Shikiの世代でも言いませんわ~
ゾッコンラブに陥ったのに女の子は乗車券を取って去ってくんですね。彼のことなんて何も気にせずに。か、カナシイ!(ノД`)・゜・。泣けるわぁ
そして日本語のタイトルは「涙の乗車券」です!!!( ゚Д゚)わぁぴったり!
まとめ
She don’t care の謎解けましたね。あ~スッキリ!他にもこんな歌詞が使われた曲を探したくなりますね!
ご存知の人も多いと思いますが、この曲はカーペンターズもカバーしています。ビートルズとは打って変わってバラードです。カレンが歌っているので歌詞が she から he に替えられているところも興味深いです。”He don’t care” になってます。
私はカーペンターズバージョンの方が好きなんですが、今回このトピックを作る時に本家ビートルズもたくさん聴きました。やっぱりかっこいいですね!どちらも素敵で甲乙つけがたくなりました。
今回の謎とイディオムを知ったところで聴き返してみてください。より音楽を楽しめますよ!